KPMG米国CEO調査2023

今日のCEOは複合的ボラティリティ (変動) の時代に突入した米国経済を舵取りしています。複合的ボラティリティは成長への破壊的なリスクと構造的変化（根強いインフレからエネルギー転換、労働市場の変化に至るまで）の組み合わせで、事業コストを引き上げ、戦略の策定と実行をするにあたり失敗の余地はありません。

今年のKPMG CEO 調査では、世界の大企業のCEO1,300人以上 (うち米国の400人を含む) の洞察を分析し、複合的ボラティリティの課題にどのように取り組んでいるかを評価しました。

ビジネスリーダーたちは米国および世界経済の長期的な成長見通しには依然として自信を持っているものの、自社の成長見通しに関しては自信が低下していると報告しています。

CEOたちはこのような環境で新たな機会を活用し予期せぬ課題に対応するための機敏性を維持しながら、長期的な成長戦略に投資しています。ビジネスを成長させるために生成型AIやESGへの投資に取り組んでおり、変革的なM&Aの機会をつかむ準備ができています。

彼らは生成型AIが経済のイノベーションを急加速させる成長への有望な道筋であることを広く認識しています。生成型AIは自社にとって最優先の投資分野であり、AIの倫理的かつ効果的な利用を従業員に促すことを心掛けています。

CEOたちは脱炭素化、M&Aおよび持続可能な金融への具体的な取り組みを推進するためのESG戦略を成熟させており、今後3~5年の間に資金的な収益を見込んでいます。さらに、ESGへの取り組みをおこなわなければトップタレントの喪失や競争力の低下というリスクを冒すことになります。

生成型AIおよびESGへの投資はいずれもレジリエンスを高め、機動力をを向上させる効果があり、CEOがより複雑で分断された世界経済でリーダーシップを発揮するのに役立ちます。

このような急速に変化するビジネス環境では、複数の組織再設計が一般的となり、柔軟性および目的に関する従業員への期待が変化しているため、人材や文化はこれまで以上に重要になっています。CEOは成長を促進するために、変化やイノベーション、賢明なリスクを受け入れる倫理的文化を育成し、従業員のスキルアップに継続的に投資し、彼らが燃え尽きるのを防がなければなりません。CEOはより多くの従業員がオフィスに来ることを望んでおり、そうする従業員には報酬を提供しますが、信頼を築くためには期待を明確に伝える必要があります。

絶え間ない変化のなか、CEOは自社が確実に長期的な成長目標を達成できるよう、大胆かつ断固たる行動を取り、公平性、目的および持続可能性を重視しています。